AC(アダルトチルドレン・アダルトチャイルド)とは、「大人であるのに幼い子どものように非常識な振る舞いをする人」という意味ではありません。
ACとは、機能不全な家庭で育ち、当時身に付けた生き方の癖による生きづらさを抱えたまま大人になった人を言います。
元はアルコール依存症の親に育てられた子どもに対する援助の場において生まれた概念でした。彼らには、アルコールの問題を抱える親の元で生き抜くための独特の考え方や行動がみられ、大人になってもそれらが大きく影響を及ぼし本人を苦しめていると分かりました。
近年ではアルコール依存の問題に起因するものに限らず、生育環境の影響により生きづらさに関連する問題を抱えたまま大人になった人を、広く「AC(アダルトチルドレン・アダルトチャイルド)」と捉えるようになりました。
本来子どもは、健全で柔軟な機能を備えた環境で自分を表現しながら、養育者の見守る中で安全に育つべきものです。しかし安全な環境が大きく損なわれるような問題があり、養育者との愛着形成が上手く成されなかった場合、これは子どもにとって大変な喪失となります(既に持っているものを失うことだけではなく、欲しかったものが手に入らないことも「喪失」と考えます)。
無自覚な喪失を抱えた中で、子どもは健気にもその環境に順応し自分の居場所を確保しようとあれこれ工夫をするようになります。とはいえ子どものできることには限界があります。小さいながらも考え抜いた結果、偏った信念による独特の行動を取るようになるのです。それは例えばこんな役割を演じる形で表現されるといいます。
・ヒーロー/スーパー・チャイルド(優等生/家族の誇り)
・スケープゴート(問題児/いけにえ)
・ロスト・チャイルド(いないふり/忘れられた子/仲間外れ)
・クラウン/マスコット/ファミリー・ペット(道化師/甘えっ子)
・ケアテイカー/プラケイター(お世話焼き/なだめ役)
※引用文献「アダルト・チャイルドが自分と向き合う本」(アスク・ヒューマンケア発行)
これらを演じ続けることは子どもにとって大変な負荷となるものでしょう。更に、ケアやフォローが無いままでは、成人してからメンタルトラブルに陥ってしまうことも少なくないのです。