子どもは本来、精神的にも身体的にも安心・安全な環境で、自由に自分を表現しながら成長する存在です。ありのままの自分を受け入れてくれる養護者との間に親密な関係を築くことで、自己肯定感や自尊感情などが育まれ、この世界は安全なのだという感覚を身に付け、他者との関わり方を学んでいきます。それらは、私たちが健康的に生きる為の大切な核として、次の世代へと繋いでいくことが本来のあるべき形でしょう。
ところが、育った環境等に重篤な問題があると、子どもは置かれた状況に適応すべく偏った役割を演じるようになり、子どもらしく生きることが出来なくなってしまいます。例えば弱者を従える絶対的な強者のいる安心・安全の欠落した家族の中で、子どもは価値観やコミュニケーションのパターンを身に付けます。それが不適切であることなど知る由もありません。そして大人になり家庭や部下を持った時などに、その悲しい連鎖を繰り返してしまうのです。親が子どもに与える影響には多大なものがありますが、世代間連鎖は養育者だけが原因ではありません。養育者もまた、彼らの親から同様の生き方を引き継いでしまっていると考えられるからです。
もしあなたがそうした負の連鎖に巻き込まれているとしたら、今から取り組むことで、連鎖を断つことができるでしょう。
「その家族で育った人が、自分をACだとして自己認知することで、断ち切れる可能性が持てるのです。つまり、自分が生まれ育って身に付けた対人関係が歪んでバランスを欠いていると自覚することで、断ち切れる可能性が出てくるのです。…中略… 遅すぎることはないのです。子どもの問題はその連鎖の真ん中にいる自分が対応を変えることで、連鎖であるがゆえに子供も変わることができます。」(三五社「アダルト・チルドレン完全理解」 信田さよ子著より)
アダルトチルドレンという生き方は、世代という長い年月をかけて刷り込まれた「生き延びるためのスキル」であり、克服することや解放されることは容易なことではありません。
でも、少しだけ捉え方を変えることで、アダルトチルドレンであるご自身を「受け入れる」ことは出来るはずです。そして、これまであなたにまとわりついていた「生きづらさ」は軽減され、抱える課題と共にアダルトチルドレンのままで「自分の人生を生きる」ことを目指せば良いのです。